総務省の17年の労働力調査では、被雇用者のうち37.3%が非正規雇用者だが、その多くは厚生年金に入れず国民年金のみ。40年間保険料を支払ったとしても月額6万5千円ほどの支給で生活保護に陥るリスクは高い。総合研究開発機構が08年に発表した研究報告書「就職氷河期世代のきわどさ」は、就職氷河期世代がこのまま高齢化すれば生活保護に必要となる追加支出が約20兆円程度と試算している。16年10月から大企業で働く一部の非正規社員も厚生年金の対象になったが、藤森さんはその適用拡大を訴える。

 社会保障の仕組みが変わるのを待つ以外に、30~50代の未婚者は将来にどう備えたらいいのだろうか。シングル専門のファイナンシャルプランナー、金子祐子さんは、まずお金の「棚卸し」をするよう勧める。

 会社に勤めていれば一般的に12月に源泉徴収票がもらえる。それをきっかけにして、1年間の収入、支出、貯金、借金を紙に書き出して整理する。その上で今後の人生でどういったお金が必要になるのか、賃貸であれば部屋の更新や車の買い替えなどライフプランを書き出していく。金子さんによると、使途不明金や、使っていないのに自動的に引き落とされる固定費など無駄な出費も少なくないという。

 無駄な支出を削ったら、少しでも収入を増やすことを目指す。クラウドソーシングで内職したり、フリマアプリで不用品を売ったり、スマホ一つでいろいろできる時代。最初は月数百円でも慣れれば2万~3万円を得ることも可能だ。シェアハウスなどで生活コストを下げる方法もある。病気や失業などのリスクに備えてまずは100万円の貯金を目指したいところだ。

「お金はある程度必要ですが、人脈と情報が大きな助けになります。シングルの方の中には人づきあいが苦手という方もいらっしゃいますが、人間関係はとても大切です」(金子さん)

 氷河期世代を待ち受ける受難の老後。孤立せず、家族以外にもつながりを作っておくことが大切だ。(編集部・深澤友紀)

AERA 2018年12月31日号-2019年1月7日合併号