実社会ではとても大切なことなのに、お金の正しい使い方やつきあい方について、学校ではなかなか教えてもらう機会がないのが現状です。「お金をとりまく環境はどんどん変わっています。子どもに正しいお金の知識をつけることは、子どもの将来に関わってきます。学校で教えてくれないのなら、家庭でお金の勉強を始めてみましょう」と話すのは、ジャーナリストで大学の教授も務める池上彰さんです。発売中の『AERA with Kids』(朝日新聞出版)では、家庭でできるお金教育について、池上さんにお話を聞きました。

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 昨年、はじめて「親子」に向けて書いた『池上彰のはじめてのお金の教科書』(幻冬舎)を出版した池上さんは、「家庭でも、子どもとどんどんお金の話をしましょう」と話します。

「意外と多いのが、『私は経済にうといから……』という親御さんの声です。教えるのに自信がないというんですね。でも、たとえ詳しくなくても、知らなくても、日常生活で子どもとお金の話をするだけでもいいのです。大切なのは、親も知らなかったことに関心を持ってみること。『何がわからないかわかれば、そのことは半分わかったも同然だ』という言葉もあるくらいなんです」(池上さん)

 かつて、テレビ番組の「週刊こどもニュース」(NHK)に出演していたときに、日銀や株式市場、日米関係などのややこしいニュースを、小学5年生の子どもに理解させるには?とつねに考えていたという池上さん。

「そこで身につけたのが『アウトプットを意識したインプット』です。資料を読むときに、内容をどう子どもに『説明=アウトプット』しようかと考えながら『勉強=インプット』するのです。これにはコツがあって、子どもの顔をイメージすると、面白いようにスッと入ってくるんです。また、子どもに説明をするときに、登場する会社の名前をお父さんの会社に例えたり、登場人物をわが子の名前に置き換えたりと、ちょっとした工夫もおすすめです。子どもの理解度がグンと高まりますよ」

 お手本に、「消費」「銀行」といったお金にまつわる基本用語を、池上さんに解説してもらいました。「そうか、こんなふうに話せばわかるのか!」と参考になります。

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AERA編集部
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