医学部不正入試、月300時間労働の医師の過酷さが背景 変えるべきは働き方 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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医学部不正入試、月300時間労働の医師の過酷さが背景 変えるべきは働き方

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作田裕史,熊澤志保,川口穣AERA#大学入試
不適切入試が発覚した順天堂大学の前で抗議する女子学生たち。苦しい言い訳に対し「ごまかすな。それはただの性差別」と訴えた (c)朝日新聞社

不適切入試が発覚した順天堂大学の前で抗議する女子学生たち。苦しい言い訳に対し「ごまかすな。それはただの性差別」と訴えた (c)朝日新聞社

文科省に「不適切入試」と認定された大学(AERA 2018年12月31日-1月7日合併号より)

文科省に「不適切入試」と認定された大学(AERA 2018年12月31日-1月7日合併号より)

 大学の医局事情に詳しい医療ガバナンス研究所の上昌広理事長(50)は、“ブラック企業”とも言える長時間労働自体が、現代には通用しないとみる。

「多くの大学病院は医師を長時間働かせ、いまだに診療科を総合的に維持、経営面では赤字です。このシステムは、完全に時代遅れ。百貨店が経営不振に陥り、専門店がにぎわっているように、医療も専門性で選ぶ時代になりました。いま成功しているのは、診療科を絞った専門病院です。長時間働かせ疲弊させるのではなく、医師の育成に力を入れている。技術レベルでみても患者数でみても、大学病院は専門病院に大きく水をあけられています」

 不適切入試やそれを巡る大学側の「言い訳」。こんな“非常識”が通用するのは、「医局独特の体質もある」と上さんは言う。

「名門医学部の多くは、学生時代から同僚も教員もずっと同じメンツで閉鎖的。仲間うちの常識が世の中に通用すると勘違いしています」

 入試差別について、私立大学なのだから合格基準は独自の判断でいいという擁護論もあった。だが、これも“内輪の論理”だと前出の宋さんは切り捨てる。

「首都圏など医学部における私大の割合がとても多い地域で、各大学が『独自』の選抜をしては地域における医師供給への影響が大きいです。患者さんからみて、かかりつけの病院が雇用側の都合だけで選抜された属性の医師ばかりになることは果たして利益でしょうか」

 人の命を扱う医療の世界で、時代錯誤や差別容認があっていいはずがない。(編集部・作田裕史、熊澤志保、川口穣)

AERA 2018年12月31日-2019年1月7日合併号より抜粋


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