つまり、前例の場合、妻が自己資金で750万円を次男に払って解決することができるのだ。改正で争いの長期化を防止することができるようになったという。

 また、原則として遺留分は、相続開始前一年間に受けた贈与財産も加味して算定される。しかし、住居の購入資金などの“特別受益”に該当した場合は無制限に算入されていた。

「旧法では何十年も前に留学資金の援助を受けていたじゃないか?と指摘されれば、その資金も贈与財産とみなして遺留分をはじき出さざるを得ませんでした。改正によって、『相続開始前10年間に行ったもの』に限定されました」(同)

(ジャーナリスト・田茂井治)

AERA 2018年12月31日号-2019年1月7日合併号