ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 消費増税に関して当欄では散々文句を言ってきました。なぜ、今増税なのか。財政再建をすべき時は景気が完全に回復軌道に乗った時で、3年連続でマクロ統計が絶好調のアメリカでさえ増税していない。まだデフレも脱却しておらず、雇用が不安定になっている日本で増税すればどうなるか、結果はばかでもわかるでしょう。

 過去の歴史を見ても消費増税の時点で日本経済は完全に腰折れしています。GDPの60%は個人消費で成り立っているわけだから腰折れするのは当たり前。日本は貿易立国でもなんでもなく、輸出依存率は10%から15%しかないのです。つまり個人消費が下がれば国全体の経済力も下がる、という当たり前の話をしているのに、ここでさらに増税しようとしているのです。

 特に野田佳彦内閣の決定で8%に増税した2014年は、景気には影響がない、とあらゆるメディアが財務省の太鼓持ちとなる中、アエラ誌上でわたくしは「景気は腰折れするぞ」と書いて集中砲火を浴びました。しかし、実際その後の個人消費の凋落ぶりは目も当てられない。11年3月(東日本大震災の月)の29万3181円という個人消費支出(2人以上世帯)を超えた月は増税後数カ月しかなく、直近の2018年10月は29万396円しかない!! というとんでもない数字になっている。少なくとも消費増税10%という話が出てからは、消費支出があの買いたくてもものがなかった震災の月を超えたことがないのですよ。

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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