「ショートフィルムタイプは、映画のパロディーやホラーが多いですね。子どもは怪談とか怖い話が好きですから」(ママ)

 怪談は学校の図書室から借りた本などで研究する。映画を見ても、ママはカメラアングルや演出効果が気になってしまう。

「ストーリーはネットで都市伝説や、何かワンテーマ+怖い話、で検索してヒントを集めたりして練り上げます。例えば、『クリスマス』と『怖い話』とか」とパパ。

 日常動画のほうは、子どもたちの自然な表情をねらい、奇をてらったことはしない。労力をかけて凝って作った「渾身の一本」よりも、子どもが遊ぶだけの動画が拡散することもある。何がウケるのかは、つかめない。

「ただ、日常動画の場合、誰もやらないことを探すよりも、ある程度一般的な内容のほうが『関連動画』への登場頻度が上がって、視聴回数が伸びる」(パパ)傾向はあるようだ。

 Bonitos TVが所属するUUUMの取締役CFO、渡辺崇さん(36)は、支持されるユーチューバーの特徴を、ユニークさだけではなく更新頻度の高さや投稿数の多さだと見ている。

「結果としてトライ&エラーの回数も増え、視聴者はそれを疑似体験できる。うまくいく動画ばかりじゃなくていいんです」

 投稿数が増えるほど、作り手の人柄もにじみ出る。面白さや目新しさだけで、視聴回数を稼ぎ続けるのは難しいのだ。

「コンテンツと共にパーソナリティーが支持されることで受け入れられるのだと思います」(渡辺さん)

 ユーチューバーは、個人のブランドや色でひきつける、新しい「ファンビジネス」といえそうだ。

(ライター・浅野裕見子)

AERA 2018年12月17日号