「発信型」はもう古い? リーダーの決断を社内に浸透させる「着信型」とは

及川知晃AERA#働き方
 昨年、海外企業による日本企業の買収案件で、こんな事例があった。日本企業の従業員は「雇用は維持する」と説明を受けてきたが、社長が記者に対して「国内生産は撤退の方針」と答えて記事になり、すぐに広報部が否定するなど混乱を招いた。

 企業広報や危機管理の専門家であるエイレックス社長の江良俊郎さんは、リーダーが大きな決断をした場合、「マスコミ対応など社外広報はもちろん大切ですが、それと同時に自社の従業員にどう説明するかなど社内広報も大切です」と語る。

 注意すべきポイントは二つあるとする。まず「社外と社内とで発信内容を変えない」。冒頭の事例が典型的な失敗だ。

 もう一つは「社外、社内とも同じ日に発信する」のが鉄則と言う。社内に早く発信してしまうと、従業員がSNSに書き込んだり、反対派からつぶされたりするなどのリスクがあるからだ。とはいえ、社内に伝えるのが社外のあとになり、ネットの速報などで発表内容が従業員に伝わるというのは不安を招くことになり、できれば避けたい。

 江良社長によると、リーダーは従業員に対し、説明会やネット中継などを通じて直接発信することが望ましい。ただ、どんなに思いが強くても表現力が伴っていないと伝わらないので、リーダーは実際に口に出して練習することも効果的という。

 しかしながら、決断は発信して終わりではない。特に社内向けの場合、メンバーが単に「うん、うん」とうなずくだけでなく、自らの問題と捉えて動かなければ、本当の意味で決断が「伝わった」とは言えないのだ。

 経営トップに限らず、部長、課長といった組織のリーダーにも決断力が求められている。会社のビジョンの策定や新規事業への参入、M&A(企業合併・買収)、事業撤退、リストラ、不祥事への対応といった経営層が行う「大きな決断」から、メンバーの担当業務の割り振りや残業の可否など現場の組織のリーダーが行う「小さな決断」に至るまで、何かを迫られる場面はさまざまだ。

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