COP24で12月3日、米カリフォルニア州知事時代に温暖化対策を推進した俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー氏が演説し、会場をにぎわせた。「米国の市民、州知事、市長、投資家はパリ協定にとどまっている」と訴え、トランプ大統領の協定離脱判断を暗に批判した (c)朝日新聞社
COP24で12月3日、米カリフォルニア州知事時代に温暖化対策を推進した俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー氏が演説し、会場をにぎわせた。「米国の市民、州知事、市長、投資家はパリ協定にとどまっている」と訴え、トランプ大統領の協定離脱判断を暗に批判した (c)朝日新聞社
COP24の議長を務めたポーランドのクリティカ環境副大臣(中央)は12月15日、パリ協定の運用ルールに合意できたことを喜んだ。2日に始まったCOP24では議論が何度も行き詰まり、閉幕が予定より1日遅れて15日となるなど、激しい交渉の末ようやくこぎつけた合意だった (c)朝日新聞社
COP24の議長を務めたポーランドのクリティカ環境副大臣(中央)は12月15日、パリ協定の運用ルールに合意できたことを喜んだ。2日に始まったCOP24では議論が何度も行き詰まり、閉幕が予定より1日遅れて15日となるなど、激しい交渉の末ようやくこぎつけた合意だった (c)朝日新聞社

 温暖化による地球破壊を食い止めようとする国際的な枠組み「パリ協定」を崩壊させようとしているトランプ米大統領。その破壊力は、12月15日にポーランドで閉幕した国際会議でも、気候変動同様に無視できないものになっていた。

【COP24の議長を務めたポーランドのクリティカ環境副大臣】

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 読み続けるのが苦痛なほどツイートを連発するトランプ米大統領が、言及すらせず、完全に無視した国際会議がある。12月15日深夜にポーランド南部カトビツェで閉幕した第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)。すでにパリ協定からの離脱を宣言し、その後も多国間のあらゆる交渉を軽視し続けるトランプ大統領らしい対応だった。

 COP24では、2015年12月に採択されたパリ協定の運用ルールが決まった。産業革命以降の気温上昇を2度未満、できれば1.5度未満に抑えることを目的とした協定の実現に向け、温室効果ガスの削減目標や具体的な道筋について報告や説明を義務化するなどの詳細を定めた。先進国と途上国に差をつけず、共通ルールの下で、地球温暖化という国際的な問題の解決に取り組む。運用開始は、当初の予定通り20年からだ。

 今回の合意は現時点で、米国も含む世界各国が対象になる。協定の規定上、20年11月まで米国は協定から実際に離脱することができないためだ。それならば、とトランプ大統領は、COP24に「刺客」を送った。ツイッターでは無関心だった国際会議の最前線で、あからさまな挑発、妨害工作に打って出た。

「技術革新で、よりクリーンになる化石燃料が、エネルギー革命で中心的な役割を果たす」

 国際エネルギーと環境を担当する米政府高官のウェルズ・グリフィス氏が12月10日、COP24の関連行事として米国が主催した脱炭素に反対する催しでスピーチすると、会場は大爆笑に包まれ、あちこちから罵声が飛び交った。

「恥を知れ」
「(化石燃料は)地下にとどめておけ」

 抗議の渦にのみ込まれたグリフィス氏は、発言の中断を何度も強いられたが、それでも強調したのは、トランプ大統領の持論だった。

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トランプ大統領の持論とは?