撮影/写真部・大野洋介
撮影/写真部・大野洋介
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撮影/写真部・大野洋介
撮影/写真部・大野洋介
撮影/写真部・大野洋介

 巷にあふれる「アイデア本」。「ベストセラー」の文字が魅力的。これを読んで生まれ変わりたい。でも、どれを読めばいいの? ええい、面倒だ! 片っ端から読んで、エッセンスをお届けします

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「アイデアが出るようになる本って、ありませんか?」

 そう書店の店員さんに相談して、案内された書棚。平積みされた人気本を中心に、手に取ってはかごに入れ、手に取っては入れるを繰り返した。そうして、買うも買ったり全10冊。よっぽどアイデアが枯渇して、切羽詰まった人に見えたと思う。

 でもそれほど間違いでもない。キレッキレのアイデアがあふれ出る頭脳の持ち主なら、そもそもこんな仕事やってないし。というわけで今回のミッションはこれ。アイデア本の読み倒しだ。アイデア本とは、豊かな発想やアウトプットを生むための、心構えから具体的なハウツーまでを紹介した一種のビジネス本のことをいう。

 アイデアをひねり出すのにハウツー本があるだけでも驚きだが、この世には数え切れないほどのアイデア本が存在しているということにも驚いた。まあ、もしも、自分が世界を変えてしまうすごいアイデアが出る方法を知っていたなら、本にして人に教えたりなんてしないで、ひとりこっそりと世界を変えていくけどね。

 そんな眉唾半分でまず最初に開いたのは、多くのアイデア本のベースになっているこちら。『アイデアのつくり方』だ。1940年、米国の実業家によって書かれて以来、アイデア不足に苦しむ世界中の人たちに愛読されているアイデア本界のレジェンドとして知られる。日本では88年に発売されて、現在なんと70刷! 30年にわたる超ロングセラーだ。

 さすがは長老。そんな貴重なワザを知ってるなら、「なんで人に知らせるのよ」といったツッコミも、華麗にかわしている。本によると、アイデアを手に入れるための「公式」はあるが、これを実際に実行しようとすると「最も困難な種類の知的労働」が必要に。著者のジェームス・W・ヤング氏は、こう綴る。

「大いに吹聴したからといって私がくらしをたてている市場にアイデアマンの供給過多が起こるというような実際上の危惧はまずない」(同書から)

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