「戦後まもない頃の建物には、廃材を使って建てられたものもある。今集めようとしても、入手できない物も多いんです。私が昭和30年代に見た北加賀屋の風景を残して、あとに続く人たちにも見せてあげたいなあと」(同)

 そんな思いから、取り壊された建物の廃材を集めて「古材バンク」も運営する。森村さんが「古材バンクのモデルルームの役割もある」と言うように、モリムラ@ミュージアムの調度品の多くは、この古材バンクから提供されたものだという。

「コレクターというより、日本では数少ないパトロネージの精神を持った実業家」

 森村泰昌さんがそう評する芝川社長とのタッグで実現したモリムラ@ミュージアム。開催が決まった大阪万博とはまったく別の形の「未来へのアプローチ」は、大阪メトロに乗っていくだけで、今すぐ体験できる。(ライター・福光恵)

AERA 2018年12月17日号より抜粋