「ここ10年で南北関係は改善に向かうと思って計画を進めてきたが、まさか(南北首脳会談で)今のように朝鮮半島情勢が突然変わると思っていなかった。貧しく悲惨な北朝鮮というイメージと違う姿を提示できたのではないか」

 ビエンナーレは韓国政府も多額の助成金を出す芸術祭だ。南北関係の機微に触れるため、政府による展示許可は、ぎりぎりになって出たという。

 ふたを開けてみれば国内の受け止めは、「体制の宣伝活動に使用される絵画ばかりだろうと思っていたら、多ジャンルを扱っていて見応えがあった」(「光州日報」)など好感を示す論調が大勢で、来場者は30万人にも上った。2年後にも再び見られるのか。文教授は、こう見る。

「開催できたのは、昨今の政治情勢のおかげ。今後、集体画を交えた大規模な展覧会の企画は、ほぼ不可能だろう」

(朝日新聞文化くらし報道部・木村尚貴)

※AERA 2018年12月17日号