アイデア出しで試行錯誤(AERA 2018年12月17日号より)
アイデア出しで試行錯誤(AERA 2018年12月17日号より)
ワタシの成功体験は…(AERA 2018年12月17日号より)
ワタシの成功体験は…(AERA 2018年12月17日号より)

 イノベーション」「スタートアップ」「ビジネスモデル」……。アイデアマンでもないのに、知恵を求められても脳はスカスカ。そんなときは、人の手を借りればいい。言葉を交わし、思考を深めてくれる伴走者は、自分でも気づかない発想力を発掘してくれる。

【アンケート】みんなの成功体験を紹介

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「ちょっとしたスキマ時間に情報誌やテレビを見ながら、アンテナに引っかかった話題は常にメモ。さらにネットで調べて、企画書にまとめて、会議に提出。採用されるためにキャッチコピーの言葉を絞り出す。こんな毎日で常に頭が痛いです……」

 映像制作会社に勤務する女性(54)は、こう深いため息をつく。民放テレビ局で情報番組の制作に携わる。テレビ局の定例会議にも出席し、部下を育成する立場でもあるので自社に戻ってミーティングも行うなど、気が休まらない毎日だという。

 今ほど「アイデアを出せ!」「アウトプットしろ!」と言われる時代はないかもしれない。書店のビジネス書のコーナーには、「アウトプット」に関する書籍がずらりと並ぶ。ベストセラーとなった『学びを結果に変えるアウトプット大全』はもとより、『結局、人生はアウトプットで決まる』『黄金のアウトプット術』……など陳列書籍の隙間からは、ビジネスパーソンがアウトプットで四苦八苦している世相が浮かぶ。

 アエラが先月行ったアンケートでも回答者の7割強が「職場や地域でアイデアを求められて困った経験がある」と答えた。

「既存、新規の得意先をどう伸ばしていくのか、展開のアイデアを求められる」(50代・女性)
「コストを低減しつつ、目新しいパッケージを考えてほしいというものが多いが、もともとの予算がショボイので、新しいものは浮かばない」(50代・女性)

 などと苦悩する様子が浮かんでくる。なぜこれほどまで、アイデアを求められるようになったのか。「高度経済成長期が終わって時代が変わったことが大きい」というのは、ビジネスコンサルタントのタブタカヒロさん。

「過去の成功体験を繰り返していれば大丈夫という時代ではなくなった。企業は単純な再生産をしても右肩上がりにはならないので、短い周期で新製品、新事業を打ち出す必要が出てきたのです」

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