中学受験で親子関係が悪化……。親心から子どもを叱りすぎて、コミュニケーションがうまくいかなくなる家庭は多いようです。

 そこで「AERA with Kids秋号」(朝日新聞出版)では、中学受験専門カウンセラーの安浪京子先生と、実際に子どもの中学受験を経験した保護者3名の方との「本音トーク」座談会を企画。「みなさん、お子さんの中学受験では、かなりのエネルギーを注いだ方ばかり」と安浪先生お墨付き!?の3名。子どもとの関係について、どんな悩みや解決法があったのか聞いた。

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安浪:皆さんこんにちは。親子二人三脚でがんばり抜いた中学入試から、だいぶ時間が経ちました。あの戦々恐々としていた入試直前も、今となっては懐かしい思い出なのでは? みなさんはお子さんの中学受験のサポートを「相当がんばった」親御さんです。断言します(笑)。なので今日は、そんなみなさんに、我が家の中学受験を振り返っていただき、よかったことや反省していること、アドバイスなどをいただきたいと思います。さっそくですが、みなさんのお子さんの中学受験で、一番大変だったのはどんなことでしたか?

Sさん:娘が5年生のとき、塾のクラス分けで、トップから突然一番下のクラスに落ちたことですね。でもテストではクリアすべき点数を取っていたので、落ちた理由がわからなかったんです。それで塾の先生に聞きに行ったのですが、どうも腑に落ちなくて。一クラスの人数が決まっているからだとか、新しく入塾した6人グループが全員御三家レベルで固まっていて、うちの子はそのグループに合わないというような話だったのですが、まったく納得できない。

Hさん:それはひどいですね! 塾はその「御三家グループ」を優先させたってことなのでしょうか。

Sさん:まあ、そこまではっきり言いませんでしたけどね。当然ですが、これで本人のモチベーションが一気に下がってしまいました。さらに夏の算数の小テストが最悪だったことで、完全に心が折れてしまって。トップから一番下のクラスだから、友だちにもバカにされるんですよ。娘はなんとか耐えていましたが、つらかったでしょうね。だから私は「受験するからには勝たせなきゃ」と気持ちを入れ替え、自分ができることは徹底的にやろうと腹をくくったんです。

安浪:親子ともに辛かったですよね。Oさんはいかがでしたか?

Oさん:娘は4年生から大手進学塾に通っていましたが、成績がまったく上がらず、6年生になって「このままではどこも受からない」と、私が不安になりました。それなのに娘はつねに受け身の態度なので、私はイライラして「クラスが下がって悔しくないの!」とか、「宿題だけしかしてないじゃない! どういうこと?」など、娘を強く叱っていましたね。少しでも成績を上げたい一心だったんです。

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AERA編集部
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