24歳の新星・木竜麻生が体現した「自死遺族の抱える悲しみ」

小柳暁子AERA

木竜麻生(きりゅう・まい)/1994年、新潟県... (11:30)AERA

木竜麻生(きりゅう・まい)/1994年、新潟県... (11:30)AERA
 AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。

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 ひきこもりだった長男の自死をきっかけに記憶を失った母を守るべく、家族総出で嘘をつく──。自死遺族の抱える悲しみや悔いというテーマを、時にユーモアを交えて描く本作は「恋人たち」(橋口亮輔監督)、「舟を編む」(石井裕也監督)など数々の作品で助監督を務めてきた野尻克己監督の長編劇映画デビュー作だ。鈴木家の父役を岸部一徳、母役を原日出子、長男を加瀬亮が演じる。この一家の長女・富美を演じるのが木竜麻生(きりゅう・まい)さん(24)。先日、東京国際映画祭の若手俳優に贈られる「東京ジェムストーン賞」を受賞した期待の新星だ。

 大ベテランとの共演。また、登場人物は皆個性的で、ソープランドでトラブルを起こした父を迎えに行ったり、昏睡状態から目覚めた母に「兄はアルゼンチンに行った」ととっさの嘘をつくのも富美。壊れゆく家族を支えようと、家族で一番若い富美がけなげにもがく。難しい役どころだ。

「本読みが一度あったんですが、信じられないくらい緊張しました。でも撮影に入ってからは、みなさんに包んでいただく感じがして。そこからは不思議と緊張せず、やれることをやれば全部受け止めていただけるという安心感の中で演じさせていただきました」

 そんな富美がグリーフケアの会で、初めて兄への思いを吐露する約5分ものワンカットの長台詞のシーンがある。カメラは木竜さんを斜め横から捉えてじんわりにじり寄る。ズームの速度に合わせて、富美の言葉に吸い込まれていくような印象的なシーンだ。

「私の中でも富美の中でも越えなければいけない所があるシーンでした。ただ、監督から『思っている気持ちや出てくる言葉が多少変わっても、多分もうずれることはないだろうから』と言っていただいて。富美の持っている愛情、憎しみ、悲しみ、怒り。そういったぐちゃぐちゃした感情を私がはらんだまま言葉を出せたら、と思っていました」

「菊とギロチン」(瀬々敬久監督)のヒロインの女力士役でも鮮烈な印象を残した。

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