電子マネーとポイントカードの大きな違いは、現金がチャージできるかできないかにある。ポイントカードは、加盟店であれば、ためたポイントを現金同様に使うことはできる。支払金額が1021円だとすると、千円札を出して端数の21円分をためたポイントで払えば、おつりで財布が膨らむこともない。とはいえ多くのカードが無記名。誰でも使えてしまうので、現金と同じ感覚で大切に保管しよう。

 多くの専門家が口をそろえるのはこれからキャッシュレスを本格化させるなら、まず交通系の電子マネー1枚、買い物系の電子マネー1枚、ポイントカードは共通ポイントカード3枚とドラッグストアなど行きつけの店のものを1、2枚の計6、7枚まで絞り込むことだ。次の段階で、さらに2、3枚カットすれば財布のダイエットも進む。

 冒頭の大学生はいまのところ交通系1枚とポイントカード5枚を持つ。最初の意気込みからすると多いと自覚している。でもチーズケーキはこの店、アイスクリームはこの店……スイーツは絞り切れない。

 キャッシュレスは「便利」で「お得」ではあるが、あまりストイックになりすぎるとストレスにすらなる。どこまでなら「便利」や「お得」をあきらめられるか、最初の一歩を踏み出すには、それも重要だ。(ジャーナリスト・山本信幸)

AERA 2018年11月26日号より抜粋