赤羽駅の湘南新宿ライン発着ホームに開設された次世代型の店舗。AI技術を活用した無人決済システムを導入しており、JR東日本グループとサインポスト社が現在実証実験を行っている(撮影/写真部・小山幸佑)
赤羽駅の湘南新宿ライン発着ホームに開設された次世代型の店舗。AI技術を活用した無人決済システムを導入しており、JR東日本グループとサインポスト社が現在実証実験を行っている(撮影/写真部・小山幸佑)
男性の1周間のキャッシュレス生活の記録(AERA 2018年11月26日号より)
男性の1周間のキャッシュレス生活の記録(AERA 2018年11月26日号より)

 来年10月の消費税増税に合わせ、政府がキャッシュレスの優遇案を打ち出した。増税2%分をポイントで還元する。官僚や政治家が吹いた笛で踊ってしまうのもいまいましいが、実はその政策がなくても、「お得」で「便利」なのだ。

【キャッシュレス生活初心者の1週間の記録はこちら】

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 埼玉県に住む男性会社員(32)は最近キャッシュレス生活を始めたばかりの「初心者」だ。まさに1カ月ほど前、テレビでキャッシュレス決済サービス・オリガミペイのユニークなCMを見て興味を持ったことがきっかけだという。ちょうどその頃、会社の先輩がウェアラブル端末でキャッシュレス決済できる最新のサービス・ガーミンペイを活用していると知って、「なんかカッコいいじゃん!」と思ったことも背中を押した。

 それまでのキャッシュレス体験と言えば、クレカ払いと通勤時のスイカとセブン-イレブンの電子マネー・ナナコぐらい。極めて一般的のようだ。少し違うのはレアな限定デザインのカードを持っていること。NTTドコモのdポイントカードは、
ファンクラブにも加入する女性ユニット・パフューム柄だ。

「見せびらかして優越感に浸っていました」と男性は笑う。

 その動機なら最初の一歩を踏み出すのはたやすい。スマホを駆使して「カッコよく」決済したいと考え、CMで見たオリガミペイとLINEペイ、楽天ペイと三つの決済サービスを設定しようとして最初からつまずいた。まずLINEペイに銀行口座を登録しようとしたところ、普段使いの金融機関2行ともに対応していなかったのだ!

 そして最初はやり方がよく分からず、しかも使える店舗が見つからなかったため、元通りスイカやクレカどまり。念願のスマホ決済に成功したのは3日目のコンビニだったという。

 オリガミペイのアプリを開いたら加盟店全店で使える5%引きクーポンが届いていた。よく行くコンビニでも使えると分かったので、レジでQRコードを画面に呼び出すと、店員は少し戸惑いながらもバーコードリーダーで読み取ってくれた。世の中よりちょっと先を行く誇らしげな気分も味わえた。

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