ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 今回の消費増税に関する一連の動きは本当にひどいですよね。当欄は、消費増税は経済にマイナスにしかならないとずっと主張しています。2014年の増税時も、影響がないとする御用学者らにデータを示して反論したわけですが、結果はみなさんご体験の通り。そして今度も消費税は10%に引き上げるのに「景気に影響のないように配慮する」というんだから開いた口がふさがりません。

 今やGDPの60%以上を個人消費が占める成熟した資本主義国家である日本において、消費増税をすれば何が起きるかは、算数さえできれば小学生にも理解できることです。14年当時からワタクシが問題だ、と指摘していた点は何よりその逆進性であって、それは今も変わりません。

「消費税に逆進性はない」などという主張も一部にみられますが、ではなぜ政府は軽減税率を導入しようとしているのか。政府が自ら逆進性があると認めているからにほかなりません。政府広報には軽減税率導入の目的を「低所得者に配慮する観点から、『酒類・外食を除く飲食料品』と『定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞』を対象に実施する」とはっきり書いてあるわけです。つまりこの税は逆進性がありますから、少し薄めますね、と言っているわけです。

 消費税の導入当時、竹下登首相はそれこそ何十回も国会で答弁に立ち、「逆進性」に何度も言及しています。今のように、景気には影響のないようにするとか言っておいて姑息にも軽減税率を導入する、なんてことは少なくともなかった。本当に議論するべきは、その景気下落圧力と逆進性をおしてなお、どうして消費増税をやらねばならないのか、という点のみです。今の国会で、その議論は正直、ゼロと言っていい。

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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