稲垣えみ子「老眼でマフラーは編めなくとも家の壁は編める!」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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稲垣えみ子「老眼でマフラーは編めなくとも家の壁は編める!」

連載「アフロ画報」

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稲垣えみ子AERA#稲垣えみ子
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。著書に『寂しい生活』『魂の退社』(いずれも東洋経済新報社)など。『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』(マガジンハウス)も刊行

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。著書に『寂しい生活』『魂の退社』(いずれも東洋経済新報社)など。『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』(マガジンハウス)も刊行

なんだかものすごく動きのない地味な画像ですが、本人はただただ必死です。ほぼ瞑想状態(写真:本人提供)

なんだかものすごく動きのない地味な画像ですが、本人はただただ必死です。ほぼ瞑想状態(写真:本人提供)

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【壁作りの手伝いをしている稲垣さんの写真はこちら】

*  *  *
 会社を辞めてやりたかったことの一つに「大工仕事」があります。だって、この世を生き抜くために多くの人を苦しめているのが「家賃」。でも今や人口減少時代なんだから、大工仕事さえできたなら、増える一方の空き家を自力で修繕してあわよくばタダで……とまではいかないまでも、かなり少ない家賃で生きていけるんじゃないか?

 そうなれば、1食200円で機嫌よく生きている私としては、何歳まで生きようがお金の心配とは生涯無縁になれるやも。これぞ最強の老後対策と言わずしてなんと言う!

 というわけで、大工仕事を手伝わせてくれる方をずっと探していたんですが、なかなかチャンスが訪れず。確かに考えてみれば、私が暮らす東京では家といえばマンションとか大きなハウスメーカーとかがメインなわけで、そこに素人がノコノコ手伝いに行く余地などないわな……。

 しかし、念じれば通ずというのは本当のことだったのです。近所のカフェで出会って友人になった湘南の農家さんが、昔ながらの伝統工法で店舗を建築中との耳より情報が! えー、そりゃあぜひとも手伝いたいと言ったところ、人手があると助かるのでぜひとおっしゃっていただきました。というわけで秋のうららかな1日、いざ湘南へ。

 いやいやいや、これが面白いのなんのー!

 与えられたミッションは、壁作りの土台となる竹の格子を縄でピシッと固定していくという作業です。やり方はとても単純ですが、それだけに、緩みが出ないようにしっかりと縄で竹をくくりつけていくのはかなりの集中を要する。慣れてくると自然に無口になっていきます。

 で、ふと気づいたのでありました。

 これって……編み物と同じじゃん! 本当の編み物は老眼にて苦戦しまくり、この年でのチャレンジは無謀だったかと悲しい気持ちになっていたのですが、これなら老眼だろうが関係なし! マフラーは編めなくとも家の壁は編めちゃう! 老眼がなんだ! できることは沢山あるぞ!

AERA 2018年11月12日号


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稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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