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認知症介護は“なりきり”も大事 プロが教える上手な対応

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高室成幸(たかむろ・しげゆき)/1958年、京都府生まれ。地域福祉を支えるケアシステムづくりと人材育成のためのセミナー開催や、著書執筆などに取り組む(写真:高室さん提供)

高室成幸(たかむろ・しげゆき)/1958年、京都府生まれ。地域福祉を支えるケアシステムづくりと人材育成のためのセミナー開催や、著書執筆などに取り組む(写真:高室さん提供)

 介護業界の人材育成から施設運営に至るまで、幅広くコンサルティングしている高室成幸さん。全国の地域包括支援センターや社会福祉協議会などでの研修に飛び回る。豊富な現場経験から、「家族介護の危うさ」と「客観視することの大切さ」を高室さんは指摘する。

「親という役」演じている

 暴言・暴力や異食(食べ物ではないものを食べてしまう)、道に迷う、弄便、そして性の問題。これらはすべて病気の症状として説明がつくが、やはり家族にとっては衝撃が大きい。

「本人も、そんな自分にショックを受けているんです。認知症でも意識レベルは時間帯や体調に応じてばらつきがある。周囲から叱責され、迷惑をかけているとわかると、自分が情けないしプライドも傷つきます。特に息子が父親を介護している男性同士の組み合わせはつらいですね」

 さらに介護者が男性の場合、責任感から介護を「仕事」のように背負い込む傾向が強いという。
「ヘルパーが来ても、料理や入浴の様子を見て『あれなら俺のほうがうまい』と、つい張り合ってしまう。それでいて自分の疲労や不調があっても、弱音を吐くのが下手なんです」

 親は誰しも、「親という役」を演じていると高室さんは言う。それが認知症によって演じきれなくなるのだと。

「子どもが見てきた親の姿と認知症発症後の姿。そのギャップは、人によっては相当なものです。『本当にこれが、親の姿なのか?』と戸惑う。実は子が親を見ている時間は長いようで短い。客観視できるようになるのが5歳だとして、20歳のころには接点も減るから、せいぜい15年。その間は『親としての顔』しか見ていない。若いころの親は? 会社では? 地域の集まりでは? どんな人だったかを、実はよく知らない」

 では認知症の親や家族に、どう対応したらよいのか。

「結婚したことを忘れているようなら、下の名前で呼ぶといいですね。今から会社に行くと言い張る父親には『今日は日曜日みたいよ?』と、新聞の日曜版を見せる。だますんじゃないんです。本人が今、生きている世界を察して、演技でつきあうのです」


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