中学時代に親が若年性認知症に…介護を手伝う子どもの胸中は? (3/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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中学時代に親が若年性認知症に…介護を手伝う子どもの胸中は?

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福原麻希AERA#ヘルス#介護を考える
大橋尚也さんと父親は、もう話はできない。「でも、昔の松任谷由実や井上陽水の曲をイヤホンから流すと、父はうれしそうな表情になるんです」(撮影/今村拓馬)

大橋尚也さんと父親は、もう話はできない。「でも、昔の松任谷由実や井上陽水の曲をイヤホンから流すと、父はうれしそうな表情になるんです」(撮影/今村拓馬)

 病前の父親は仕事一筋だった。短気な面もあったが、何でも修理できる頼もしさが好きだった。

 だが年々、一人でできないことが増えていく姿を見るのは切ない。母親は娘2人に家事や介護を手伝うようには言わない。だが、進学や就職活動などのとき、香澄さんは「家族全体がマイナスにならないように」と自然に考えるようになった。

 最近、友人の間で結婚の話がよく出る。「結婚するなら、公務員で浮気しない人がいい」「年収はいくらでないと」という声を聞いて、香澄さんは「病気になって、勤めをやめるかもしれないって考えないのかな」と心の中で思う。「どうしようもないことが起きても、この人のためなら歩み寄れる」、そう思えないと結婚なんてできないと考える。

 友人たちには父親の認知症や介護の話はしていない。「介護なんてすごいね」「感動する」と言われたらと思うと違和感がある。それは自分にとっては普通の日常に過ぎないからだ。

 両親の穏やかな一日の生活を自分の仕事で乱したくないという思いから、最近、一人暮らしを始めた。別居したことで「どんなことがあっても、家族の縁は切れないもの」と気付いた。(医療ジャーナリスト・福原麻希)

AERA 2018年11月12日号より抜粋


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