退会の意思を伝えると役員から「PTAをやめると、子どもにこんな不利益が及ぶ」というリストを渡された。「PTAで購入する卒業記念品がもらえなくなる」「PTAが主催する夏休みのプール事業や相撲大会に参加できなくなる」「登校班に入れなくなる」などだ。

 そして退会が周囲に知れると、冒頭のように「登校班はずし」が始まった。翌日からは毎日、彼女が子どもを車で学校に送ることになった。

 この「登校班」は、小学生が安全に学校へ通えるよう、近隣の子で班を組み集団登校する仕組みで、実施している学校では、班編成や見守りをPTAに依頼することが多い。PTA会員の保護者の負担が大きいため、「やらない人はズルい」と不公平感につながる。そのため非会員家庭の子を会員家庭の子と同様に扱うことに対して反発が起きやすいのだ。

 このように、親がPTAに入らないことで子どもが不利益を被るケースは、近年増える傾向にある。全員加入する義務があるかのように考えられてきたPTAについて、あくまで「任意加入」の組織だという認識が広がり、非加入や退会の意思を伝える保護者も全国的に増えている。(PTAジャーナリスト・大塚玲子)

AERA 2018年11月12日号より抜粋