大人の事情で子どもが肩身の狭い思いをすることがあってはならない。「子どものために」がPTA活動の原点のはずだ(撮影/今村拓馬)
大人の事情で子どもが肩身の狭い思いをすることがあってはならない。「子どものために」がPTA活動の原点のはずだ(撮影/今村拓馬)

 PTAの負担があまりにも重く、退会を申し出る親が増えている。だがその代償は大きい。子どもが理不尽な目に遭うケースもあるのだ。子どもたちのために活動する組織で、本末転倒な事態が起きている。

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「ある日、子どもが学校からしょんぼりして帰ってきました。朝いつもの時間に集合場所へ行ったら、『自分が入る登校班がどこにもなかった』って。親がPTAをやめたことで、なぜ子どもが登校班をはずされなければならないのでしょうか……」

 こう話すのは、中部地方のある小学生の母親だ。彼女は、もともとPTAの委員会で副委員長をしていた。

「仕事は簡単」と聞いて引き受けたが現実は違った。集まりが多いときは週3回ほど学校へ。下の3歳の子を連れているのに、帰宅が夜9時半をまわることもあった。歓送迎会は参加必須。子どもが感染症にかかり「休んでいいか」と問い合わせたが、「来なかった人は代々語り継がれている」と言われ、やむなく参加した。

 強制的で負担があまりにも大きいことに疑問がふくらんだ。次の年度は委員長になる可能性もあるとわかり、「これ以上は無理だ」と思い、会長に委員長を決めるくじ引きの免除を申し入れた。だが、確約してもらえなかったため、非会員になることを決めた。

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