1991生まれ、インド出身新人監督が死を通して描いた親子の心の通い合い

木津毅AERA

Shubhashish Bhutiani/19... (11:30)AERA

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 AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。

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■いま観るシネマ
 雄大なガンジス河が流れるインドの聖地・バラナシ。遠藤周作が小説『深い河』の舞台にするなど、古くから日本人にとっても憧れの地と言えるのではないか。そこで繰り広げられる、ささやかだが胸に沁み入る人間ドラマが「ガンジスに還る」だ。この成熟した作品を撮ったのは、インド出身の新人監督であるシュバシシュ・ブティアニ。なんと1991年生まれの監督は、本作をこのように説明する。

「多くの人がこれは“死”についての映画だと考えていますが、私は“生”についての映画だと思っています。ある人物が死に向かう過程を描くことで、その周りにいる人びと──世代間の葛藤や、自由を欲する若者たちを見つめることができたのです」

 老境にある父ダヤは、ある日自分の死期を悟り、死を迎えるために聖地・バラナシへ向かうと言う。息子ラジーヴはしぶしぶ付き合い、父と改めて向き合うことになる。

「ラジーヴはいつも忙しく、携帯電話を手放せないような典型的な現代インド人です。彼ははじめ、ただ良い息子であろうとして父のバラナシへの旅に付き添いますが、そこではじめて、肉親の死を実感することになるのです」

 ガンジス河のほとりでは毎日火葬場で人が焼かれ、ヒンドゥー教の祭礼が行われる。そのかたわらで、人びとが日常生活を送っている。

「死はバラナシの町の一部です。人びとは死を特別なことだと感じていません。私はそれを目の当たりにして、死が人生の一部であると理解することができました」

 ラジーヴは父の死への道程を見守ることで、父との絆、妻子との関係、そして自分の人生を見つめ直していく。映画を撮るなかで、監督自身も多くのことを学んだという。

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