イラスト:小迎裕美子
イラスト:小迎裕美子
バロメーター表を作ってみました(AERA 2018年10月29日号より)バロメーター表のPDFデータはこちら
バロメーター表を作ってみました(AERA 2018年10月29日号より)バロメーター表のPDFデータはこちら

 夫婦共働き家庭が増える中、家庭で浮上する問題の一つが、夫婦での家事分担。妻による“ワンオペ型”ではなく、目指すは夫婦が協力し合って、家事・育児に取り組む“ダブルス型”だ。そこでアエラは、「家事・育児 夫婦バロメーター表」を作成。実際に共働き夫婦を取材し、表を使用してもらったところ、思わぬ事実も見えてきた。

【バロメーター表はこちら】

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 今回の取材を通して見えたことがある。妻側は、家事・育児の分担割合を半々にするという「物理的」な平等以上に、夫婦が同じ責任感で取り組む「精神的」に対等な関係を求めているということだ。

 1歳と6歳の子を育てながら、フルタイムで働く埼玉県の30代の女性は、夫の家事・育児への参加のムラが悩みの種だ。

「夫の家事・育児能力の低さや精神が不安定になることに振り回される。手伝う種類や頻度を自分の精神状態によって変えられてしまう」

 まさに「気分が乗ったときだけ」「やりたいことだけ」というのは、責任感のなさの表れ。夫婦でのバロメーター表作成は、そんな意識の違いをすり合わせていく作業でもある。

 一方で、 “ダブルス型”に近づくことに成功している家庭も。2歳の子どもを育てる千葉県の20代の女性は専業主婦。一般的に専業主婦だと、家事・育児が妻に丸投げされるケースも多い。

 女性は復職を目指し、1年ほど前から資格取得のため、土曜日に通学をはじめた。はじめは数時間だった講座が今では丸1日に。思い切って夫に育児を任せたことが功を奏した。

「部分的な手伝いではなく、丸1日過ごすことで、育児と家事の大変さが分かったのか、平日は手伝いをほとんどしなかった夫が、平日も食器洗いなどを率先してやるようになりました」

 今では毎日のお風呂に、寝かしつけの本の読み聞かせなど、帰宅後にできることは、妻が指示を出さずとも動くようになった。

「やってくれたことに対して必ず『ありがとう』と言うようにしています」

 このありがとう攻撃がさらに夫のやる気を誘い、うまく回っているという。バロメーター表も作成。思った以上に夫が担っている家事が多いことが可視化され、改めて夫に感謝の気持ちが湧いたという。

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