「食は金儲けではなく芸術」アラン・デュカスが明かす仕事の流儀

高野裕子AERA
 ジョエル・ロブション亡き今、フランス人シェフの最高峰と言えばアラン・デュカスだろう。世界各地30カ所以上にレストランを展開し、各国を飛び回る彼を追ったドキュメンタリー映画が公開中だ。

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 プライバシーを重んじ、私生活を明かさないデュカスを2年間、カメラが追った。「もし料理の道を選んでいなかったら、旅行家か建築家になっていたと思う」と吐露するデュカス。折しもヴェルサイユ宮殿内のレストラン開店に向けて念入りな準備が進む中、旅を続ける。食文化、世界との関わりという観点から、人間像を浮き彫りにする。

「レシピをコピーすることはしません。外国のストリートフードを体験しても、インスピレーションとして採り入れるだけ。可能な限り多くの味を、自分の感覚として採り入れるのです」

 そんなデュカスが尊敬してやまない国が日本だ。

「日本では多くの食材を発見しました。日本人は食意識が高く料理好きな国民で、強い好意が湧きます。街角の小さなレストランでさえレベルが高く、そうした国は世界中を見渡しても他にあまりありません。大衆レストランのレベルが非常に高いんです。例えば映画に登場する鰻料理の店で払ったのはたった15ユーロでした! とりわけ京都には素晴らしい店が多いですね」

 少なくとも年に4度は来日する。国によって味覚は異なるが、日本出店で気を配った点について、こう説明する。

「地元の食材を使うことで、それぞれの国のレストランで異なる側面が開拓できます。地元のスタッフが地元の食材で作ることで新しい料理、新しい味を生むことができるのです。例えば東京の場合、85%は日本の食材を使っており、客の85%も日本人です。しかしレストランのDNAはフランス料理であり、洗練された優雅さでお客さんを魅了するという方針です。環境に順応しグローバルの視野を持ちつつ、ローカルに振る舞うということが大切です。フランス料理のDNAを変えずに」

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