村上春樹原作の映画「ハナレイ・ベイ」。松永大司監督は今回「GENERATIONS from EXILE TRIBE」で人気上昇中の佐野玲於さんを起用した。パフォーマーである彼がスクリーンに刻んだ、役者としての魅力とは。
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松永:玲於を最初に知ったのは「HIGH&LOW」のライブ。誰よりも光ってる!と思って、すぐにオファーしました。
佐野:うれしいです。ライブは生ものだから一日違ったら、また違うパフォーマンスになっていたかもしれない。一瞬一瞬の縁と出会いで、ご一緒させていただいたんだなあと思います。
松永:僕は役者との出会いの運と勘には自信があるんです。「トイレのピエタ」でミュージシャンの野田洋次郎をキャスティングしたときもそうだった。今回は玲於の内なるパワーやエネルギーを感じてビビッときた。
佐野さんが演じるタカシは、吉田羊さん演じる主人公サチの一人息子。シングルマザーである母とぶつかってばかりの彼は、ハワイのハナレイ・ベイにサーフィンに行き、鮫に襲われて亡くなってしまう。
佐野:死んでしまった息子という役で、サーフィンも初挑戦。難しい部分もあったけど、結局「タカシって自分でしかないな」と思ったんです。監督も「そのままでやってくれ」と言ってくださった。
松永:玲於はパフォーマーだから、言葉で表しにくいものも、肉体で表現することができる。そこも大きな魅力なんだよね。
佐野:「これ、自分だ」と思ったら、羊さんにもいい意味で遠慮なくぶつかっていけました。
松永:二人が言い合いをするシーン全部アドリブだもんね。「なんでこのレアなTシャツ、普通に洗っちゃうんだよ!」とか。
佐野:「あんた、誰のおかげで食べてんの?」と言われて「……めんどくせえよ(怒)」とか。18、19歳のころの反抗的な自分を思い出しながらガーッと言ったら、羊さんも本気でムカついて返してきて。あのとき僕、完全に「素」でした(笑)。
松永:あのシーンが撮れたとき「この親子はいける!」と思った。