これらのすべてを間違いなくチェックするのは簡単なことではない。一生に何度もあることではないし、経験が必要。少なくとも5軒程度は見学を、と書いたのはそのためだ。

 それが大変なら、最近はインスペクション(建物調査)のプロである「インスペクター」に依頼して、物件をチェックしてもらう手もある。

 インスペクターにもよるが、何十項目にもわたってチェックしてくれ、場合によってはリフォームの必要度合い、それに必要な予算なども提案してくれる。数万円程度の費用がかかるが、何千万円という買い物の安心のためなら、高くはないかもしれない。

 また、物件の絞り込みの段階では、「安心R住宅」に注目してみるのも有効だ。これは、国土交通省が推進している制度で、・新耐震基準を満たしている、・リフォームされているか、リフォーム提案書がついている、・検査済み証や点検記録などの「安心R住宅調査報告書」がある──などを満たしている住宅が対象。

 国土交通省が認定した団体に所属している不動産会社が、この条件を満たす物件を販売するときの広告などに、「安心R住宅」のロゴマークを掲載することができる。つまり、このマークがある物件なら、国土交通省のお墨付きをもらっているという見方ができる。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

AERA 2018年10月22日号より抜粋