国際宇宙ステーション(ISS)に2017年12月から18年6月まで、長期滞在していた宇宙飛行士の金井宣茂さん。医師から宇宙飛行士となった異色の経歴の持ち主でもある。金井さんは子どものころからどうやって夢をかなえてきたのだろうか。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』11月号に掲載されたインタビューを紹介する。

無重力の宇宙環境(写真:JAXA/NASA提供)
無重力の宇宙環境(写真:JAXA/NASA提供)
違う国から来た仲間が協力(写真:JAXA/NASA提供)
違う国から来た仲間が協力(写真:JAXA/NASA提供)

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 子どものころの夢は、医師でした。両親が病院に勤める薬剤師だったので、理科や生物、化学というものが身近で興味がありました。もともと自分の興味があることは一生懸命やるタイプなので、医師になるための勉強は好きなことを学んでいる感じでした。

 ただ私が目指したのは、病院で患者さんを診る、いわゆる医師ではありませんでした。

 本を読むのも好きで、とくにジュール・ヴェルヌの『海底二万里』や『八十日間世界一周』などの冒険小説が、私の冒険心をくすぐりました。

 せっかく医師になるならば、船医になって世界中をまわりながら患者さんを診てみたい─―。ちょうどそのころ、自衛隊が海外で国際貢献をする任務を始めていたので、自衛隊の医師となり、世界のさまざまな場所で医療活動をするのも面白いと思ったのです。

 実際にその仕事に飛び込み、潜水医学という分野を専門に勉強しました。潜水艦など特殊な海の底という極限環境で人間が活動するには、どんな健康管理やサポートが必要なのか。なかなか奥が深い分野で、のめり込んでいくと、この海の中の活動は、宇宙飛行士が宇宙でやっていることと似ていると知ったのです。潜水医学では潜っている人たちをサポートする側だった私が、今度は宇宙飛行士になって、自分で宇宙に行ってみたいと、新たな冒険心に突き動かされて、宇宙飛行士を目指しました。

 振り返ってみると、子こどものころから面白いなと思うことを自分で突き詰めて勉強していく中で、その先にいろいろな選択肢が見みえてきました。そしてその面白いことの先にまた新しい道が見みえてくる――。

 子どものころに宇宙飛行士になりたいなんて思ったことはなかった私ですが、新しい道を進む中でいつのまにか宇宙飛行士になっていました。みなさんも自分が一番興味があること、得意なことに夢中になり、取り組むと、きっとすてきな予想もしない未来に出合えるはずです。

※月刊ジュニアエラ 2018年11月号より

ジュニアエラ 2018年 11 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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