共働きが前提なので、勤務地の新宿駅までの通勤時間は1時間以内が、譲れないライン。子どもができたり、急な転勤があったりするかもしれないので、いざとなれば住み替えるつもりだ。最初に買った家を「終の棲家」にする意識は全くないという。

「将来的に物件を売る場合でも、共働きで都心に勤務する世帯が買い手なら家を選ぶ基準も似ているはず。内装をリフォームするにしても奇抜なデザインにならないようにしたい。どの地域の、どういう物件なら需要があるかを常に考えて、資産価値が維持できそうな物件を見極める目を養っています」(橋本さん)

 今年4月から参加している坂爪恵子さん(49)は、不動産投資に興味があり、一棟売りの物件購入を視野に入れている。今年初めに大病をわずらったことが、端緒だった。今は会社の代表取締役としてバリバリ働く毎日だが、療養中に「もし体が動かなくなっても収入を確保する手だてを考えなければ」と思い、勉強を始めたという。

「男性に比べて、女性の方がリスクには敏感。だから、実際に不動産投資を経験した女性に、銀行融資や空室のリスクについて生の情報を聞けることは、非常に有益です」(坂爪さん)

 ケイアイスター不動産の中山紫欧里さん(25)は、会の意義をこう話す。

「不動産業界というと男性社会のイメージが強く、興味があっても、女性だけで気軽に話せる雰囲気がありませんでした。まずは業界のイメージを変えて、不動産への敷居を低くしたい。また、夫婦で自宅購入やリフォームをする際は、妻の意見が購買を大きく左右します」

 女性同士で本音をぶつけ合うこの会は、不動産業者にとっても魅力のようだ。(編集部・作田裕史)

※AERA 2018年10月22日号