大杉漣最後の主演作 監督が大杉から受け取った助言のメールとは

古谷ゆう子AERA

大杉漣最後の主演作 監督が大杉から受け取った助言のメールとは

佐向大(さこう・だい)/1971年生まれ。自主映画「まだ楽園」(2005年)が劇場公開され、注目を集める。死刑に立ち会う刑務官の姿を描いた映画「休暇」(07年)では脚本を担当した(撮影/植田真紗美)
 AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。

【大杉漣さん最後の主演作「教誨師」の写真はこちら】

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■いま観るシネマ
 かねて大杉漣主演で映画を撮りたいと思っていた。どんな役がいいだろう。これまで見たことのない大杉漣を撮りたい。役柄に考えを巡らせる一方で、「人間と人間が対峙して魂をぶつけ合う」、そんな作品を撮りたいという思いが佐向大(さこうだい)にはあった。

 この二つの思いが結びついて生まれたのが映画「教誨師(きょうかいし)」だ。佐向は、かつて脚本を担当した映画で死刑に立ち会う刑務官の姿を描いた。そこにも、教誨師がいた。

 教誨師は、受刑者の宗教上の希望に応じ、教義に基づいて受刑者と向き合い、対話する。本作では、教誨室という閉ざされた空間のなかで6人の死刑囚が大杉演じる佐伯保に思いのたけをぶつける。佐伯はそれをただただ受け止める。大杉が佐伯を演じるのは、必然のように思えてくる。

「大杉さんご自身、物事を否定することもなければ、『これはちょっとダメだよ』というような言い方もほとんどされない方でした。普段の付き合いのなかでもそうです。ただ、僕には『もっと積極的にならないと』と言っていましたけれど(笑)」

 佐向は、教誨師を「鏡」のような存在として脚本を書いた。6人の死刑囚たちが好き勝手に話をする。それを佐伯が受け止めることで、彼ら自身の人生が見えてくる。

 脚本を書くにあたり実際に教誨師に話を聞いたが、作中で交わされる会話はフィクションだ。日本の死刑制度について声高に議論を巻き起こしたいわけでもないという。

「ただ、そこで何が起こっているのか。それらが知らされないということはものすごく怖いことだと思うんです。“隠されていること”を知りたい、という気持ちはあります」

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