もともと起業支援に関心があった男性。「フリーミッション」という自分で業務を決めて取り組める枠で採用された。だが首長の交代で方針が変わり、実際は役場の仕事を任されてばかり。

 さらに体育会出身の若者だからと期待され、地域の消防団の活動に参加することに。大会前には週5でハードな練習。地域の人の期待に応えなければという思いがあり、強く主張したり断ったりもできなかったという。

 田舎の人間関係については、家に勝手に近所の人が上がりこんで洗濯物を取り込んだりお茶をしていたりという話も聞くが、男性の場合は逆だった。住んだ地域は人家が集まる集落。

「初めは野菜をもらったりすることもありましたが、ほとんど近隣の人との交流もなくなり、今では都会で暮らしているのとなんら変わりません」

(編集部・高橋有紀)

AERA 2018年10月8日号より抜粋