西原憲一(にしはら・けんいち)/ファイナンシャルプランナー、税理士として個人のマネープランを作成。被災地でも資金管理の講演を行う(写真:本人提供)
西原憲一(にしはら・けんいち)/ファイナンシャルプランナー、税理士として個人のマネープランを作成。被災地でも資金管理の講演を行う(写真:本人提供)
【運転免許証】緊急時の予備知識と備えが大切(AERA 2018年10月1日号より)
【運転免許証】緊急時の予備知識と備えが大切(AERA 2018年10月1日号より)

 普段、身分証明書として使うことも多い、運転免許証。しかし災害時などの非常時に、身につけていることは少ないだろう。非常時に運転免許証を紛失したら、どうすべきなのか。災害時の金融機関の対応にも詳しいファイナンシャルプランナーの西原憲一さんはこう指摘する。

【画像】知っておきたい!緊急時の予備知識・運転免許証編はこちら

*  *  *

 多くの人が利用している最も身近な身分証明書といえば、運転免許証だろう。災害時、現金の入った財布や預金通帳といった貴重品すら持ち出すことができない状況で、運転免許証だけ肌身離さず持っていたというケースは少ないはずだ。運転免許証を置きっぱなしにしていた車が濁流に流されたり、土砂の下に埋まってしまったりする状況も考えられる。

「運転免許証がもし悪意のある第三者の手に渡ると、災害時のなりすまし被害に遭うリスクも高くなります。災害時でなくとも、運転免許証を紛失すると、『勝手に消費者金融から借金された』『携帯電話を契約された』『振り込め詐欺に使う銀行口座を作られた』などの悪用事例が増えています。災害で気が動転しているとは思いますが、運転免許証を紛失したら、近くの交番でもいいので、すぐ警察に届け出ること。警察に届けを出した日の前か後かで、犯罪かそうでないかが特定されます。警察に届けを出すことが、万が一、トラブルが発生したときでも、あなたの身を守ってくれるのです」(西原さん)

 警察に届け出れば、そこから先の手続きなどはすべて警察官が教えてくれる。

 避難生活の貴重な足となる車を運転するためにも、すぐに運転免許証の再交付を受けたい。そのためには、運転免許センターや運転免許試験場、警察署の運転免許課に出向く必要がある。

「多くの被災地では、被災者への再交付手数料を免除する特例措置がとられています。たとえ罹災証明書や印鑑がなくても、窓口で申立書や手数料免除申請書に記入して、拇印を押すだけで、再交付を受け付けてくれます」(同)

 西日本豪雨に見舞われた広島では、県警が日曜日も臨時の対応を行ったり、避難所に運転免許課の職員が出向いて4日後をメドに再交付を行ったりするなど、迅速な対応を行った。

著者プロフィールを見る
中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

中島晶子の記事一覧はこちら
次のページ