西原憲一(にしはら・けんいち)/ファイナンシャルプランナー、税理士として個人のマネープランを作成。被災地でも資金管理の講演を行う(写真:本人提供)
西原憲一(にしはら・けんいち)/ファイナンシャルプランナー、税理士として個人のマネープランを作成。被災地でも資金管理の講演を行う(写真:本人提供)
緊急時の予備知識と備えが大切(AERA 2018年10月1日号より)
緊急時の予備知識と備えが大切(AERA 2018年10月1日号より)

 地震や台風、豪雨に遭ったとき、大切なお金にアクセスするすべをすべて失う可能性もある。災害で紛失した通帳、運転免許証、健康保険証、クレジットカードを最短最速で取り返すための予備知識を持っておきたい。今回は通帳やキャッシュカードを失った場合の対処法を紹介する。

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 現金のみならず、銀行の通帳やキャッシュカード、印鑑などお金にアクセスする手段すべてを失ったまま、家から放り出されたら、どうすればいいのか?

 災害時の金融機関の対応にも詳しいファイナンシャルプランナーの西原憲一さんは、「パニックになる気持ちは痛いほどわかります。でも落ち着いてください。お金のことなら、なんとかなります」と語る。

 西原さんによると、遠方の親戚などに「至急、現金書留でお金を送って」などと頼む人も多いが、そもそも災害時は郵便事情も悪くなる。届ける家もわかりづらい状況での現金書留は、やめたほうがいい。

「災害時は金融機関も対応が柔軟になります。通帳、カード、印鑑がなくても本人確認さえできれば、預金の引き出しに応じてくれます。東日本大震災や熊
本地震のときも、多くの金融機関が10万円まで引き出しに応じていました。ゆうちょ銀行なら、通帳、印鑑なしでも20万円まで引き出せます」(西原さん)

 地域密着型のJA(農協)バンクや信用金庫もフレキシブルに対応してくれる。

「東日本大震災で通帳や印鑑を紛失された方が多いというニュースを見たのがきっかけで、防災対策としてゆうちょ銀行に貯金するようにしました」

 と語るのは、セミリタイアブロガーという肩書で著書を出版し、「SOUTAi40」というブログを運営する大阪府在住のKotaroさん(51)。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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