国・自治体の支援 目的別リスト[1](AERA 2018年10月1日号より)
国・自治体の支援 目的別リスト[1](AERA 2018年10月1日号より)
国・自治体の支援 目的別リスト[2](AERA 2018年10月2日号より)
国・自治体の支援 目的別リスト[2](AERA 2018年10月2日号より)
罹災証明書の申請方法(AERA 2018年10月1日号より)
罹災証明書の申請方法(AERA 2018年10月1日号より)
罹災証明書交付申請書(AERA 2018年10月1日号より)
罹災証明書交付申請書(AERA 2018年10月1日号より)

 公的支援のメニューは数多いが、必要な支援は被災者によって様々。共通しているのは、自ら申請しなくてはいけないということだ。

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 国や地方自治体による被災者への支援制度は手厚い。ただ、原則として被災者が自ら申請しないと支援を受けられない。

 内閣府が2011年6月に公表した資料によると、同年3月11日に起きた東日本大震災の建築物などの被害額は16兆9千億円に上った。このうち6割強に当たる10兆4千億円を占めたのが住宅や店舗、工場といった建物の復興費用だった。

 一方、被害が著しかった宮城、福島、岩手の3県では震災後、職を失う人が急増した。廃業や規模縮小に追い込まれた企業が相次ぎ、岩手県では11年4月に有効求人倍率が0.41倍となった。職を求める人の半数以上があぶれた計算になる。宮城県では失業率が7%を超えた。この結果、個人消費は大幅に落ち込み、さながら地域限定の経済恐慌状態に陥った。

 今夏日本列島を襲った台風21 号と北海道地震について、SMBC日興証券シニアエコノミストの宮前耕也氏は「台風による関西空港の閉鎖と北海道地震による停電で、商品の供給が滞るだけでなく、被災リスクから訪日消費に悪影響が広がる可能性がある」と指摘する。

 自然災害で被災したとき、頼りにできるのが国や自治体からの公的支援制度。被災者への支援制度の一部を表(「被災者支援に関する各種制度の概要【東日本大震災編】」内閣府の資料)にまとめた。被災者はこれらの中から、自分の状況に合った制度を選択し、申請することになる。

「基礎支援金、加算支援金といった定番の支援のほか、親や子どもが亡くなった場合の災害弔慰金や生活資金、就職支援など、被災者のニーズに合わせて種類が多いです。このため、国や地方自治体の職員が被災者を一人一人訪ねて、その人に合ったすべての支援金を支給するのは物理的に不可能。よって自己申請が原則となります」

 と語るのは、中井生活経済研究所所長の中井恵美子さん(ファイナンシャルプランナー、中小企業診断士)。つまり「自分で手続きをしないと、何ももらえない」のだ。自身がケガなどで動けないときや、高齢で手続きに出向くことが厳しい場合は委任状の添付で代理人による申し込みが可能になる。

 各種支援を受ける際には、罹災証明書と被災証明書が必要になる。罹災証明書は住居が被害を受けた事実を証明し、被害の程度を「全壊」「半壊」「一部損壊」などと判定する。北海道地震で地盤の液状化などの被害が出た札幌市の場合、罹災証明書の申し込み受け付けが始まったのは地震4日後の9月10日。罹災証明書は公的支援だけでなく、民間保険会社への保険金申請にも使える。物件の現地調査から1~2週間後に発行され、発行までの間は「罹災届出証明書」(現在、申請中ということがわかる書類)で代用できる。

 一方、被災証明書は人や家財、自動車など「不動産以外の被害」を証明する。こちらは被害の程度は問わず、判定するのは被害に遭ったという事実だけ。申請の当日発行されるケースが多く、勤務先への休業申請の届け出のほか、原本であれば身分証明書としても効力を持つ。

 自治体によっては罹災証明書を被災証明書の代わりにできる場合もある。(経済ジャーナリスト・大場宏明、編集部・中島晶子)

AERA 2018年10月1日号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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