安倍首相の対ロ外交は詰んだのか? プーチン「平和条約」発言の真意

藤田直央AERA#安倍政権
 プーチン大統領の唐突な「平和条約」発言は何を意味するのか。自民党総裁選で3選を果たした安倍晋三首相に成算はあるのか。

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 9月12日、ロシア極東のウラジオストク。安倍晋三首相ら各国首脳が極東開発を話し合う会議で、ロシアのプーチン大統領が「いま思いついた」と語り出した。

「あらゆる条件をつけず、年末までに平和条約を結ぼう」

 これが日本政府にとっていかにショックな発言だったか。

 日本はロシアの前身のソ連と1956年の「日ソ共同宣言」で戦争状態を終わらせたが、平和条約は結んでいない。その時点で、終戦直後にソ連に占領された島々から1万7千人が追われた北方領土問題が解決せず、返還を求め続けているからだ。

 その後ソ連は、領土問題は「解決済み」とまで後退したが、93年、日ロで領土問題を解決して平和条約締結という目標の共有にまでこぎつけ、今に至る。

 なのにロシアが「条件なしで年末までに」と平和条約を迫るなら、日本にすればこれまでの苦労は何だったのかとなる。

 プーチン氏に公の場で、面前で言われた安倍氏には、さらにショックではなかったか。

 長期政権ならではの首脳外交の強みを安倍氏はアピールするが、看板の対ロ交渉が傷ついた。「プーチン氏と22回も会談してこれか」と野党は批判し、9月20日投開票の自民党総裁選でも議論になった。

 もし、そうした安倍氏へのダメージをプーチン氏が軽視していたのなら一層深刻だ。

 発言は本音に聞こえる。70年以上も実効支配し、今やロシア人1万7千人が住む島々だ。その扱いが日ロ関係の発展を妨げているのなら、平和条約締結とのリンクを外せばいいではないか、という思いだろう。

 だが、日本は応じられず交渉は停滞。打開のため安倍・プーチン両氏は2013年の共同声明で「双方に受け入れ可能な形」での解決を通じ平和条約を締結すると表明した。安倍氏は「私と大統領で終止符を打つ」と繰り返してきた。

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