付箋のポスト・イットなどのヒット商品がある外資系化学メーカーのスリーエムジャパンには、一日の労働時間が1時間でも5時間でも7.75時間とみなされる「フリータイム制度」がある。販売職(営業)の社員を対象としたもので、月あたりの総労働時間は、労使で結ぶ36協定で定めた範囲内になるように個人が設定する。働く場も決まっておらず、自律的な働き方によって効率を上げてパフォーマンスを発揮しやすくすることが狙いだ。

 社員に裁量が与えられるので、子育てしながら働く社員も営業の現場で活躍しやすい。研究職から営業へ転身し、同社初の「技術営業」の肩書がある広島支店の日浦紗喜さん(36)は、4歳と1歳の子育て中。子どもが熱を出して保育園に預けられない日は自宅作業に切り替える。

「会社がさまざまな制度を整え、働くことを応援してくれているのを感じる。両立は厳しい面もあるけど、挑戦し成長できる環境にいられることが自己肯定感につながっていて、大変でも働き続けたいと思えるんです」

(編集部・深澤友紀、石臥薫子、ライター・澤田憲)

AERA 2018年9月17日号より抜粋