仕事をする上では、ゴールを設定し、それをメンバーで共有することが大切ですが、日系の企業ではミッションやビジョンがあっても、それを言語化できていないところが非常に多いと感じています。

 組織づくりは、「自分たちがどんな価値をどんな人に提供したいのか」をわかりやすく言語化することからスタートするべきもの。そこから逆算して、どういう人を採用するのか、人材をどう育成していくのか、どんな働き方をするのか、といったことを積み重ねていく作業です。ただ、大手企業の多くは雇われ経営者で大胆な動きはしにくいため、一部の未上場のスタートアップ企業やオーナー企業を除いて、できているところはほとんどありません。

 また、日本企業のもう一つの課題が、管理職にプレイングマネジャーが多いことです。彼らがメンバーと同じ日常業務をこなす限り、チーム全体の生産性を向上させることはできないでしょう。

 本来マネジャーの役割はテクノロジーを駆使し、いかにメンバーが最大限パフォーマンスを発揮できる環境をつくるかということ。生産性はそこから向上していくのです。

 最近は上下関係のない「ティール組織」も注目されています。チームの中で誰もがリーダーの意識を持って自発的に働くことは、個人も組織も幸せな状態と言えると思います。

 グーグルから独立して起業した僕の会社プロノイア・グループでは、社員全員がマネジャー的な意識を持ち、メンバー同士でフォローし合いながら、最高のチームパフォーマンスを引き出しています。

(構成/編集部・深澤友紀)

AERA 2018年9月17日号