福岡市城南区に住むエミリー・トンプソンさん(29)は、英国出身の英語教師。訪日後1年内の2016年4月に発生した最大震度7の地震では、城南区でも大きな揺れを感じた。


 
「英国では地震がほとんどないので、どう対処していいのか分からず、ただただ恐怖だった。突然、警報で携帯電話が大きな音を出したのにも驚いたし、何が起きているのか状況把握すらできなかった」
 
 福岡市では16年以降も地震が何回か発生し、台風は毎年何度も来る。地震のみならず台風も英国では未経験だけに常に緊張を強いられる日々だ。

 在留外国人は、ネットで必死に情報を探すか、親しい日本人に助けてもらうか、どちらかでしか災害情報をリアルタイムで得られないというのが、約3年の福岡生活での実感だ。日本人の助けがない場合は、「確実に孤立する。外国人は守られていないと感じる」。
 
 災害時に情報を各国言語でリアルタイムに発信する外国人専用アプリが一つあれば、状況はかなり改善されると強調する。世界各国から多くの人が日本に来る20年東京五輪・パラリンピック時に災害がこないとは言い切れない。その時に大混乱する様子が容易に想像できるとトンプソンさんは言う。
 
「日本で暮らす外国人が苦労しているのに、日本の言葉もルールも何も知らない外国人が東京に大勢やってくる。世界には自然災害を体験したことがない人も多い。パニックが起きる」
 
 外国人観光客の誘致に積極的な政府の方針の下、17年の訪日外国人観光客は2869万1073人となり、5年連続で過去最多を更新。在留外国人も17年12月時点で256万1848人と、3年連続で過去最多を更新した。19年のラグビー・ワールドカップなど国際イベントも多く予定されている。災害大国・日本に世界各国の人たちが集まっている今、外国人を意識した災害対策の強化は喫緊の課題となっている。(AERA編集部・山本大輔)
 
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