日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が6月27日、目的の小惑星「リュウグウ」に到着した。打ち上げられた2014年12月3日から約3年半、総飛行距離32億キロにおよぶ長旅だ。来年末まで滞在し、リュウグウの砂を地球に持ち帰ることをめざす。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された記事を紹介する。

小惑星リュウグウ/はやぶさ2が赤道付近の20キロ上空から撮影。そろばんの玉のような形をしている。直径は約900メートルで、地球とは反対の向き(左回り)におよそ7時間半の周期で自転している(JAXA提供)「JAXAはやぶさ2プロジェクト」 http://www.hayabusa2.jaxa.jp/「ファン!ファン!JAXA!はやぶさ2特設サイト」 http://fanfun.jaxa.jp/countdown/hayabusa2/
小惑星リュウグウ/はやぶさ2が赤道付近の20キロ上空から撮影。そろばんの玉のような形をしている。直径は約900メートルで、地球とは反対の向き(左回り)におよそ7時間半の周期で自転している(JAXA提供)
「JAXAはやぶさ2プロジェクト」 http://www.hayabusa2.jaxa.jp/
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 リュウグウは、ほぼ球形をしていると考えられていたが、近づいてみると、そろばんの玉のような形をしていることがわかった。表面はたくさんの岩の塊におおわれてゴツゴツしており、クレーター(隕石孔)もある。直径約900メートルは予想通りだった。

「到着」といってもはやぶさ2は小惑星に着陸したのではなく、リュウグウの赤道付近の20キロ上空にホバリングするような形でとどまる。7月下旬から8月下旬にかけて高度5~1キロまで降下して観測を行い、着陸地点を決める。9、10月には着陸して、表層をおおう砂のサンプル(標本)を採取するほか、科学観測機器を積んだ小型着陸機「MASCOT」や3台の小型探査ロボット「MINERVA─II」を降ろして、地表の様子を詳しく調べる予定だ。

 来年春には、小惑星の表面に金属の塊を撃ちこんで人工のクレーターをつくり、内部の砂を採取するミッションも予定されている。その後、2019年末までにリュウグウを離陸し、20年の12月ごろ、地球に帰還する計画だ。

■太陽系ができた当時の物質も?

 みなさんは初代「はやぶさ」のことを知っているかな? 03年5月に打ち上げられ、05年11月に小惑星「イトカワ」への着陸に成功。10年6月に往復60億キロの旅を終えて帰還し、月以外の天体からのサンプルを世界で初めて持ち帰った探査機だ。初代はやぶさが着陸したイトカワは「S型」という、岩石質の小惑星だった。一方、後継機のはやぶさ2が到着したリュウグウは「C型」という、水や有機物(炭素を含む物質。生物の体をつくる材料になる)を含むと考えられている小惑星だ。

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AERA編集部
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NEXTC型を選んだのには、わけが…
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