キッズフリマ開始前のスタッフによる説明の様子(撮影/編集部・高橋有紀)
キッズフリマ開始前のスタッフによる説明の様子(撮影/編集部・高橋有紀)
出店した子どもたちは、各自、売り上げ表に書き込んでいく(撮影/編集部・高橋有紀)
出店した子どもたちは、各自、売り上げ表に書き込んでいく(撮影/編集部・高橋有紀)

「いらっしゃいませー!」

【出店した子どもたちは、各自、売り上げ表に書き込んでいく】

 8月18、19日、観光客であふれる六本木ヒルズ(東京都港区)の一角に子どもたちの声が響いた。メルカリと環境省が共催した小学生向けの「キッズフリマ」だ。出店する66人とお客の884人は、全員が事前に登録した小学生。応募が殺到し出店者は抽選で選ばれたという。

 子どもたちはおもちゃのお金ではなく、本物のお金で自分の不用品を売買する。

「きょうりゅう 100円」「ぼうえんきょう 30円」と売り上げ表に書き込みながら「収入400円超えてる。結構売れるかも」と笑顔を見せたのは小学4年生の西村一樹くん。妹で2年生の希さんと一緒に出店した。ブースの外から、両親が心配そうに見守っている。囲われたブースの中に、保護者は入れず、スタッフのサポートはあるものの、子どもたち自身のやり取りに任せられている。

「うちの子たちは引っ込み思案なので、初めて会うお友達とコミュニケーションをとる機会になれば」と母親のゆうきさん。

 買う側も売る側も初めての子が多く、最初は無言でお金を手渡すぎこちなさがあったが、慣れてくると、

「これとこれでいくら?」
「二つなら50円だよ」

 と活気があふれてくる。

 終了時間が近づくと、一樹くんは値札に赤い線を引き値下げを始めた。「タイムセール中」の札を掲げている子もいる。売り残さないように各自工夫を重ねている。

 自作のアクセサリー店を出店したのは6年生の福井千尋さん。UVレジンという紫外線で硬化する樹脂にラメを混ぜて作った飾りをヘアゴムにつけたハンドメイドアクセサリーだ。作るところから売るところまで一連の流れを夏休みの自由研究としてまとめるつもりという。

「最初は恥ずかしくて声を出せなかったけど、だんだん出せるようになったらお客さんも来てくれた」(千尋さん)

 母親の舞子さんも、普段ハンドメイド作品を作って販売をしている。

「大人も子どもも、モノを買うことが簡単にできてしまう時代。知らない間になくしたり、飽きていらなくなったりしてしまうけれど、自分でモノを作って売ることが、どんなに大変か。この体験を通じて知ってくれたらと思ってます。学校ではなかなか学べないことですよね」

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