竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
『当たり前』でなくなるプラスチック製ストロー(※写真はイメージ)
『当たり前』でなくなるプラスチック製ストロー(※写真はイメージ)

「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 プラスチック製のストローの使用を規制する動きが、世界中で広まっています。米ワシントン州シアトルでは、7月、飲食店などでプラスチック製のストローやフォーク、ナイフなどの提供を禁じる条例が施行されました。外食産業を中心に、日本でもこの動きは加速しています。

 日々大量に廃棄される使い捨てプラスチック製品は再利用が難しく、海洋環境汚染の原因になっています。食用の魚などの体内からも大量のプラスチック片が見つかっており、対策が急がれています。

 6月にシンガポールで開かれたコンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)のボードミーティングに参加した際も、議題になりました。世界70カ国の大手消費財企業約400社が加盟するCGFでは環境問題、食料廃棄問題など世界のさまざまな課題を各企業のトップがノンビジネスの視点で話し合います。一つの国や企業の利益に偏ることなく、世界的に対策が急務な課題には、共通の目標を設定していこうという取り組みです。

 大企業のリーダーが大きなルールを作ろうとする一方で、米国のシリコンバレーでは、優秀なベンチャー企業が既存の常識=「ルール」を打ち破るイノベーションを起こそうとしています。情熱的な若きリーダーが、自分たちこそがルールを変えるのだという意気込みで、創意工夫とデジタル技術を駆使しながらマーケットを切り開いている。

 たとえば、大豆やエンドウ豆など植物だけを使って本物の肉と遜色ないハンバーグを製造しているビヨンド・ミート社などは、すでに世界から注目を集めています。6月にシリコンバレーで若き経営者たちとじっくり話し、私自身、とても刺激を受けました。

 大企業が作ろうとする大きな流れと、ベンチャーの巻き起こすスピード感と活気に溢れる爽やかな流れ。私たちも流れを作れるような企業になりたいと思っています。プラスチック製のストローが当たり前でなくなるように、世界は常に変化しているのです。

AERA 2018年9月10日号

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竹増貞信

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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