小屋暮らしで“体が悲鳴” 完全な孤独に潜む危険

2018/09/03 11:30

高村友也(たかむら・ともや)さん/1982年生まれ。東京大学哲学科卒業、慶應義塾大学大学院(哲学専攻)博士課程単位取得退学。著書に『自作の小屋で暮らそう』『スモールハウス』(ともにちくま文庫)など(撮影/編集部・石田かおる)
高村友也(たかむら・ともや)さん/1982年生まれ。東京大学哲学科卒業、慶應義塾大学大学院(哲学専攻)博士課程単位取得退学。著書に『自作の小屋で暮らそう』『スモールハウス』(ともにちくま文庫)など(撮影/編集部・石田かおる)

 自作の小屋で、低コストな生活を実践する高村友也さん。これまで小屋暮らしをしながら様々な著書も出版してきたが、そんな暮らしの中で体が悲鳴をあげたことがあったという。何が起こったのか、次のように明かす。

【写真】高村さんの小屋の外観や内観はこちら

*  *  *
 異変が起きたのは、小屋暮らしを始めて5年。3冊目の本『僕はなぜ小屋で暮らすようになったか』(同文舘出版)を書き終えた2015年のことでした。夜、本を読んでいると、突然全身が強い不安に包まれ、動悸が止まらず、パニックのような症状に襲われました。自分が尋常でない状況にあることをそのとき悟りました。

 小屋で暮らし始めたのは大学院生活の終盤。卒業後、どう食べていくのかを決めないといけない時期でした。研究者の仕事に魅力は感じられず、かといって就職もしたくなかった。

 というのも、今の社会は「家」を筆頭に生活基盤がハイコストに設定されていて、それを背負い維持するため猛烈に働くシステムが出来上がっています。膨大な時間を奪われ、自由もままならない。その「高速回転」に乗ることにそもそも違和感を覚えていました。

 それで約70万円で山梨の雑木林に土地を購入し、10万円で小屋をセルフビルド。ライフラインも自作し、電気はソーラーパネルでまかない、水は近くの湧き水をくむなどして、月約2万円で暮らせる生活サイクルを確立しました。1、2カ月バイトすれば残りの10カ月間は自由に暮らせる計算です。

寝たいときに寝て、起きたいときに起きる小屋生活は快適でした。人に会うこともなく、自己完結した暮らしを送り、体調もとても良かった。1年くらいしてブログを立ち上げるとたちまち反響があり、書籍化が決定。さらに2冊の本を出すことになりました。

 しかしその一方で、何年もひとりきりで生活していると、気分がいいときはいいのですが、ネガティブな思考や感情にとらえられると歯止めが利かなくなる。3冊目の本は長年考え続けてきた「死の観念」や自身の内面を掘り下げた内容で、自作した小屋のなかの暮らしは自分の脳内で暮らすようなものなので、ネガティブな思考にとらえられると抜け出せなくなる。逃げ場がないのです。

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