無料客室スマートフォンhandyは、世界約80カ国で導入が進む。将来的には、カギやリモコンとしての利用や決済システムとの連携なども期待されている(写真:ハンディジャパン提供)
無料客室スマートフォンhandyは、世界約80カ国で導入が進む。将来的には、カギやリモコンとしての利用や決済システムとの連携なども期待されている(写真:ハンディジャパン提供)

 写真を見て「最近、出張先のホテルにあった」という人もいるだろう。客室専用無料レンタルスマホのhandy(ハンディ)だ。

 特徴は国内や海外との通話、地図や動画を含むインターネット通信がすべて無料でできること。室外に持ち出すことも可能だ。Wi-Fiの整備の遅れが外国人観光客に不評だった問題も解消する。

 ハンディは香港の企業が開発。端末はシャープ製で、日本では同社が出資するハンディジャパンが昨年7月にレンタルを開始した。

 ホテル側は初期費用ゼロ、月額利用料を1台につき980円払うだけで集客が見込めるというので、一気に導入が加速。わずか1年で、国内での契約は24万台に。都内では約6割のホテルが導入している計算だ。

 ホテルにとって、ホーム画面に周辺の観光情報などオリジナルコンテンツを載せることができるのも魅力。

「これまで近くのおいしい店をフロントに聞く人が多かったが、言葉の問題などもあり対応が難しいケースもあった。それが印刷コストもかからず、コンテンツも瞬時に編集・更新ができ、多言語で使えるというので喜ばれている」(ハンディジャパンの野本歩さん)

 今年7月にはソフトバンクが出資・資本提携したほか、エイチ・アイ・エス(HIS)前社長でロボットが働く「変なホテル」を成功させた平林朗氏がハンディジャパン関連会社の役員に就任。10月に平林氏自身の会社が東京・豊洲でオープンするホテルを実験場として、新たな活用方法を模索していく。小さな端末がホテル滞在のあり方を大きく変えていくかもしれない。

AERA 2018年9月3日号