困ったら“ぷちょへんざタイム” 今どき職場の「孤独」防止策 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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困ったら“ぷちょへんざタイム” 今どき職場の「孤独」防止策

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高橋有紀AERA#働き方
ワンクリックでSOSが出せるぷちょへんざタイム。好評で他のチームでも導入が始まったという(撮影/品田裕美)

ワンクリックでSOSが出せるぷちょへんざタイム。好評で他のチームでも導入が始まったという(撮影/品田裕美)

 12時、15時、17時にチャットツールのSlackに自動で流れる設定だ。オフィス内ではエンジニアの席は隣同士。なぜ直接声をかけないのか?と思うが、

「コードを書いているときに一度手を止めると、作業効率が落ちてしまうんです。隣で集中している人には声をかけづらい」(鈴木さん)

 このシステムであれば、助ける側も、自分のタイミングで手伝える。安心して声をあげる仕組みができた結果、チーム内の技術的な差も縮まった。

 心理的安全性を高める手段のひとつとして、導入が相次いでいるツールもある。昨年6月のサービス開始以来、100社以上が導入している「ユニポス」は、ピアボーナスと呼ばれる「日常的に同僚から感謝の気持ちとして送られる少額のボーナス」を導入するシステムだ。目的は“縁の下の力持ち”への感謝と評価を可視化すること。

 ユニポスの仕組みはこうだ。週の初めに1人400ポイントが付与され、チャットツールと連携できるユニポスのタイムライン上で、「留守中のトラブルに対応してくれてありがとう」(100ポイント)のようにメッセージとともにポイントを送り合う。1ポイントは1~5円で、導入する会社が決める。ユニポスを導入しているITコンサルティングのチェンジでは5円に設定している。同僚から送られたポイントは、手当として月ごとに支払われ、誰にも送らなかったポイントは翌週には失効する。

 チェンジの福留大士社長は、導入のきっかけをこう振り返る。

「一昨年に上場して以来、特に売り上げを作るフロント部門にだけスポットライトが当たるようになっていました。会社は本来いろんな人に支えられて成り立っているのに、そのことが忘れられている。それって共同体の危機だなと感じていました」

 振り返れば、社会も同じことだ。電車に乗っても駅員に感謝の声をかける人はほとんどいない。電車は時間通りに動いて当たり前。それが誰かの仕事であることに、考えや感謝が及ばない。同じようなことが社内にも蔓延していた。

 福留さんが気になったのが、「~~さん電話です、何番です」と電話を回してくれた人に対して、何も言わずにガチャッと取って話し始める人がいたこと。

「ありがとうとか、はーいとか、せめて何か言うべきだろう、と。でも注意したところで社長に怒られるから渋々言うのでは意味がない。もっとポジティブな形で何かできないかなと」

 ユニポスはまさに、表に現れない貢献に光を当てるものだ。自分の仕事に追われ、他人を承認している余裕がない状況。「ちゃんと見ててくれたんだ」。そう思えるかどうかは、仕事のモチベーションに大きく関わる。
 転職するときに表立って「孤独だから辞めます」と言う人はいないが、辞める理由は孤独感であることが多いと福留さんは見る。自分の居場所がちゃんとあって、この組織でみんなと一緒に何か成し遂げたいと思っていたら、辞めないはずだ、と。

 離職を防ぐ以外にも効果があった。それは、周りがイエスと言っているときでもノーと言える空気が社内にできたこと。

「新サービスを開発するとき、入社2、3年目の社員でも社長の僕に対してガンガン言いたいことを言ってくる。それは間違ってますとか、古い感覚ですよとか。イノベーションを起こすために欠かせない。最大の成果だなと思っています」 (編集部・高橋有紀)

AERA 2018年9月3日号より抜粋


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