米林宏昌監督、初の短編作品 『メアリと魔女の花』との決定的な違いは…

矢内裕子AERA

米林宏昌監督、初の短編作品 『メアリと魔女の花』との決定的な違いは…

米林宏昌(よねばやし・ひろまさ)/1973年生まれ。96年にスタジオジブリに入社し、2010年「借りぐらしのアリエッティ」で初監督。「思い出のマーニー」は米アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネート。そのほかジブリ退社後にスタジオポノックで制作した「メアリと魔女の花」がある(撮影/写真部・大野洋介)
 AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。

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■いま観るシネマ
 ドラマチックな世界観を持つ作品で、観客を魅了してきた米林宏昌監督の新作は、川の中でささやかに暮らす、カニの兄弟の「冒険」を描いた物語だ。米林監督にとっては初の短編作品であり、オリジナル脚本。初めて男の子が主人公になっている。

「僕自身は、男女にこだわりはなく、子どもが自分なりの決断をして、成長していく瞬間に興味がある。『メアリと魔女の花』のメアリは強い女の子でしたが、自分も含めて大抵の人間はそうじゃない。弱い主人公が、誰かと助け合っていくことで、試練を乗り越える様子を描きたかった」

 擬人化されたカニの兄弟は、ちいさなハサミを頼りに、困難に立ち向かっていく。

「短編作品も長編と同じ気持ちで作っています。ただ、総カット数が少ない分、いろいろな挑戦ができますね。今回は水の中の物語なので、水の流れや生き物は、すべて3DCGで作りました。そこへ僕たちが長年やってきた、手描きのキャラクターや背景を融合させたのが新しい試みです」

 スタジオジブリ時代に、米林監督が手がけた「思い出のマーニー」は、水の描写が印象的だった。

「水の表現はアニメーションの醍醐味の一つですが、同時にとても難しい。本作の舞台は水中なので、キャラクターの髪の毛やマントの動きで、目に見えない水の流れを表現したり、上がっていく泡や水草の流れを描くことで、マジックを起こそうとしました」

 今回は「ポノック短編劇場」として「ちいさな英雄─カニとタマゴと透明人間─」の総タイトルで、米林作品「カニーニとカニーノ」の他に百瀬義行監督の「サムライエッグ」、山下明彦監督の「透明人間」、三つの短編が同時上映される。

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