実は記者も、子どもの頃から飼っていた代々の犬をペット霊園に入れている。実家の犬とあわせて、総勢5頭。ロッカー式の墓だが、5頭となると大きなブースが必要になり、年間の管理費は数万円におよぶ。

 ちなみに私のデートにさんざんつきあわされ、高校生のときに亡くなったミックス犬のチャオは、このペット霊園に納まって、早40年。その後加わった犬たちの費用をあわせると、トータルでは、ペット霊園に入れる費用とトントンの可能性も。人のお墓を買う予定のある人なら、なおさらリーズナブルだ。

 首都圏に住むとある60代の女性も、昨年、この奥多摩霊園にウィズペットのお墓を買った。両親とたちと暮らしていたが、父が5年前に他界。4匹の猫たちも相次いで亡くなり、母と相談して、家族同様だった猫たちと人が一緒に入れるお墓の購入を決めた。

 見せてもらったのは、父が好きだった碁や将棋の盤の上で、父が溺愛していた猫ちゃんたちがたわむれる様子を表現した、もはやアートと言えるようなオリジナルの墓石。これに凝ったため、総額200万円ほどの費用がかかったという。
 
「兄が猫との埋葬に反対だったため、父の遺骨の埋葬はしていません。でも、いずれ猫と一緒の埋葬を望んでいる母と、よく話すんですよ。父は天国で猫さんたちに囲まれて、世話をしているでしょうねと」(女性)

 思い返せば昭和時代は大型犬から金魚まで、ペットとお別れすると、自宅の庭に埋葬するのが当たり前。でも今はたいていの家で、そんな大きな庭なんてないわけで。あったとしても、いつ手放して掘り起こされるかもしれない土地に、家族同様だったペットたちを眠らせておくのは抵抗がある人も多い。

 たしかに自分も死んだ後、夫の墓がどうなるかより、チャオたちペットの遺骨がどうなるかのほうがずっと心配だ。それならいっそ、一緒が安心。ペットと入れるお墓、オススメです。(ライター・福光恵)

※AERA 2018年8月13-20日合併号