「チャンピオンの人たちなんて雲の上の存在だと思ってました。行けるところまで行こうと思って、目の前の課題をガムシャラにクリアしていくうちにベルトが取れた感じですね」

 今年3月の王座防衛後に行ったマイクアピールも実り、9月30日の「RIZIN」への出場も決定した。「本当は人前に出るのは苦手。スターになりたいとか思ってない」というチャンピオンだが、「ここまで来たら、もしかして行けるのかも」と思うようになった“アトム級世界一”を目指す。

 駆け足で3人の選手を紹介してきたが、どの選手からも感じるのは、「軽やかなタフネス」の持ち主だということだ。もちろん、内に秘めた葛藤や様々な思いはあるだろうが、その全てを「強くなりたい」「勝ちたい」という意志が上回った末に、傍目には困難に見える道も、こともなげに選択しているように見える。その上で、何があってもその道を突き進もうというタフさが感じられる。

 注目度が上がり、活躍の場が一気に広がろうとしている女子格闘技の世界において、彼女たちの軽やかなタフネスは、いまだ見たことのない地平を目指して転がっていく。(ライター・高崎計三)

※AERA 2018年8月13-20日合併号より抜粋