フランス映画の鬼才フランソワ・オゾン 新作は「自分を知りたい」気持ちを刺激するミステリー

坂口さゆりAERA

Francois Ozon/1967年11月、... (16:00)AERA

Francois Ozon/1967年11月、... (16:00)AERA
 AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。

【「2重螺旋の恋人」のワンシーンはこちら】

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■いま観るシネマ
 サスペンスやミュージカル、コメディーにファンタジー、メロドラマ……。フランス映画の鬼才フランソワ・オゾンは毎回、同じ監督が手がけたとは思えないほど多彩な映画を見せてくれる。

「フランソワ・トリュフォーが『(同じタイプの映画を)繰り返さない。必ず前作と反対のことをやるべきだ』ということを言っていますが、私もそれに賛成です。前作の『婚約者の友人』はクラシックで歴史劇だったし、感情を抑制した映画だったので、『2重螺旋の恋人』ではアグレッシブで暴力的、凝った演出にしたかったんです」

 そのオゾン監督の言葉通り、「双子」をモチーフにした今作は、これまでの作品の中でもかなりサスペンス・ミステリー色が強く、美術から小道具一つまで凝っている。見れば見るほど深みにはまってしまう映画だ。

 主人公のクロエ(マリーヌ・ヴァクト)は原因不明の腹痛に苦しんでいる。病院で検査をしても異常はなく、精神的なものだと言われた彼女は精神分析医ポール(ジェレミー・レニエ)のもとを訪れる。クロエは次第に癒やされていくと同時にポールと恋に落ち一緒に暮らし始めるが、ある日、通勤途中のバスからポールが女性と一緒にいるところを目撃。調べてみると、その男性はポールの双子の兄ルイで、同じ精神分析医だった。ルイが気になるクロエは身元を隠して彼のもとへ通い始めるが……。

 真面目で優しいがセックスに不満が残るポール。俺様系ながら性的満足を与えてくれるルイ。クロエは同じルックスで正反対の二人の魅力に抗えず揺れ動く。オゾン監督は大好きだという米国の作家ジョイス・キャロル・オーツの短編小説を大胆に脚色。クロエの妄想世界に入り込み、女性が内に抱えるセクシュアリティーに迫る。

「『2重螺旋の恋人』はクロエが自分自身を探す旅のような映画ですが、観客の皆さんもクロエと同じように『自分を知りたい』という気持ちがあるのでは。自分はなぜこういうことをしてしまうのか、なぜこれが好きなのか。優れたミステリー映画は観る者のそうした気持ちを刺激すると思うんです」

◎「2重螺旋の恋人」
「双子」をモチーフに、妄想と現実が入り乱れて展開する心理サスペンス。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開中

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