でも「最近はセリフがなかなか入らなくなった」と笑う。

「役によっては、状況を説明しなければならないものもあるでしょう。感情的なセリフだけでやり取りできたら、すごく楽しいだろうなと思うんですけど」

 主演映画「検察側の罪人」では、まさに剥き出しの感情を言葉にして、共演者や監督とぶつけ合った。

「確かに僕らは『アクション!』の合図で役を演じているんだけど、そのセリフに込められた感情は日常と地続きのリアルなもの。僕が心を動かされるのは、いつも“ノンフィクション”なんです」

 最近、1級小型船舶操縦士の免許を取った。プライベートで訪れたニュージーランドで、「日本人は同じ島国なのに、何で船に乗れないんだ?」と言われたことに、カルチャーショックを受けたらしい。

「いつか船に乗って、『行ったことのない東京』に行ってみたいですね」

(ライター・澤田憲)

※AERA 2018年8月13-20日合併号