奥原希望が新境地「休むこともプラス」気づいたきっかけは? (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

奥原希望が新境地「休むこともプラス」気づいたきっかけは?

このエントリーをはてなブックマークに追加
照屋健,遠田寛生AERA
奥原希望(おくはら・のぞみ)/個人で約11カ月ぶりに優勝したタイ・オープンを終えて帰国した成田空港で、報道陣の質問に笑顔で答えた (c)朝日新聞社

奥原希望(おくはら・のぞみ)/個人で約11カ月ぶりに優勝したタイ・オープンを終えて帰国した成田空港で、報道陣の質問に笑顔で答えた (c)朝日新聞社

三宅宏実(みやけ・ひろみ)/5月の全日本選手権では、右足の付け根にけがを抱えながら練習を大きく上回る記録で優勝した (c)朝日新聞社

三宅宏実(みやけ・ひろみ)/5月の全日本選手権では、右足の付け根にけがを抱えながら練習を大きく上回る記録で優勝した (c)朝日新聞社

●バドミントン 奥原希望
新境地「休むこともプラス」

 7月16日。バドミントンのタイ・オープンで個人では約11カ月ぶりに優勝し、成田空港に帰国した奥原希望(日本ユニシス)の表情は晴れやかだった。

「早くたどりつきたかった場所なので。とりあえず、優勝できてホッとしています」。この1年間、自分と向き合ってきた思いの強さを感じた。

 リオ五輪で銅メダル。昨年8月に日本選手として初めてシングルスで世界選手権を制し、今年5月には女子ユーバー杯で37年ぶりの団体優勝に貢献した。この1年間で、個人でも団体でも世界一。順風満帆にみえるが、その陰で悩み、もがいてきた。

 昨年11月の全日本総合選手権1回戦。右膝の痛みを抱えてコートに立った奥原はわずか5分で退いた。会場もどよめく、突然の棄権。唇をかみ、目に涙をためながら話した。

「苦しい決断ですけど、自分が目指す東京五輪に向けたらこうするしかなかった」。満足にプレーできない自分へのもどかしさを抱えていた。

 156センチの小柄な身体で走り回り、驚異的なスタミナで相手のシャトルを徹底的に拾う。「世界一しつこい」と恐れられるそのプレースタイルは、半面、常にけがとの戦いだった。

 リオ五輪前に両膝を手術。五輪後に右肩を痛めた。そして世界選手権を制した直後にまた膝。「正直、なんでまた、という思いもある」と明かしたことも。復帰後はコントロール感覚をなかなか取り戻せず、焦りを感じた。

 そんな奥原が「新しい境地が見えてきたんです」と言ったのは、5月のことだった。

「最近は、休むこともプラスだと捉えられるようになってきた」

 幼少期からとにかく練習熱心で、365日、休むことなく練習した。埼玉・大宮東高時代に指導した大高史夫さんは「こっちが止めないと、本当に休まない」。夜9時近くまで体育館で練習し、自主練を終え、疲れていても1時間走りにいった。ただ、けがを重ね、追い込まれて、気づいたのだという。「休む勇気も必要なんだ」と。

 奥原家では正月に目標を油性ペンで書き、家の壁に貼る。2018年に書いた言葉は「適度」。「○○大会で優勝する」「メダルをとる」といったこれまでの言葉が大きく変わった。

 世界一も経験し、「自分が自信を持ってコートに立てれば、結果はついてくると思えるようになった」。目標とする20年に向け、一歩ずつ、進んでいる。(朝日新聞記者・照屋健)

AERA 2018年8月6 日号


トップにもどる AERA記事一覧

関連記事関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい